手のひらサイズのカードリーダーと、スマホやタブレットをアプリで連携して利用するモバイル決済は、一度にさまざまな決済方法を導入できる点が大きな魅力です。
クレジットカードユーザーはもちろん、電子マネーや○○ペイなど若年層のユーザーにも幅広く対応できるため、以下のような要望を持つ経営者におすすめです。
- 安価で複数の決済方法を導入したい
- 操作する機械は少ないほうが良い
- さまざまな年齢層のユーザーを集客したい
複数の決済方法を導入できますが、契約するサービス会社によってはこの限りではないため、会社選びが重要です。
モバイル決済を導入する場合の注意点やおすすめの業態について、モバイル決済のメリット・デメリットとあわせてご紹介します。
モバイル決済を使った際のメリットとは
モバイル決済とは、スマホやタブレットを利用した決済方法で、サービスによってはクレジットカードを持てない未成年も支払い可能です。
POSレジやICを利用して決済する方法の他、近年ユーザー数が増加し続けているQRコード決済も、モバイル決済に分類されます。
また、店舗側がスマホやタブレットの専用アプリとカードリーダーを連携させ、クレジットカード決済を受け付ける方法もモバイル決済の一種です。
モバイル決済を導入するメリットは、以下のようなものがあげられます。
- 幅広いユーザーにアプローチできる
- 初期費用が無料もしくは安価
- 数日で導入できるサービスもある
- 売上が翌日入金のサービスもある
- インバウンド対応しやすい
近年数多くの企業が提供している『○○ペイ』は、クレジットカードによるチャージが可能なタイプの他、ATMやコンビニでチャージできるタイプもあります。
そのためクレジットカードを持つ世代に限らず利用でき、未成年や中高齢者など、幅広い集客効果が期待できます。
PayPayのように初期費用・決済手数料・売上の入金手数料が無料で利用できるサービスもあります。(決済手数料と入金手数料は期間や条件つき)
手数料が発生する場合も比較的低い料率に設定されていることから、コスト重視の方に最適です。
クレジットカード決済を含める場合は困難ですが、QRコード決済のように社内審査のみの場合は、申込後翌日や2営業日程度で導入できるサービスもあります。
売上の入金サイクルが短い決済代行サービス会社も多いため、翌日や5営業日後ほどの短期間で売上金を受け取ることが可能です。
また、PayPayのように自社サービスに加えAliPayなど海外のQRコード決済やクレジットカードブランドに対応している場合もあり、インバウンド対策を視野に入れられます。
モバイル決済を使うことによるデメリットはある?
クレジットカード以外の決済方法にも対応できるモバイル決済は、たとえばFeliCaやApple Payのようにスマホを専用端末へかざすのみの決済も可能です。
ただし、以下のようなデメリットがあげられるため、契約する決済代行サービス会社選びに注意しなくてはなりません。
- サービス提供会社の選択肢が多すぎる
- 導入した決済方法が客層と合うとは限らない
- iOSのみ対応のサービスもある
- 接続方法がサービスごとに異なる
- 屋外へ持ち出せるタイプと持ち出せないタイプがある
モバイル決済のサービスを提供する会社は多く、それぞれ取り扱い可能な決済方法が異なるため、選択肢が容易には絞りきれない状況となっています。
安易に手数料や端末代金の安さで会社を選んでしまうと、想定しているユーザーの求める決済方法とマッチしない可能性があります。
PayPayの例をあげると、初期費用などが無料で社内審査のみのため、手軽に導入できるメリットがありますが、対応できる支払い方法はPayPayとAliPayの2種です。(Alipayは別途申し込みが必要)
ユーザー数の多いPayPayですが、一方で似たような決済サービスにメルペイや楽天Pay、ORIGAMI PayやLINE Payが存在します。
PayPayやAliPayの客は取り込めますが、似たようなユーザー層と言える他社のQRコード決済の集客効果は現時点で皆無です。
端末の対応可能OSや接続方法もサービスごとに異なるため、既に所有しているスマホを決済用に使用する予定の方は、対応OSを事前にチェックしてください。
接続方法は店舗内での使用であれば大きな問題にはなりませんが、イベント出店や出張サービスなど屋外や店舗。事務所と離れた場所で利用する場合は重大なポイントです。
屋外への持ち出しも視野に入れている方は、接続方法とともに屋外利用に対応しているかどうかも公式サイトの問い合わせフォームや専用電話番号から確認しておきましょう。
モバイル決済を導入したほうがいいのは繁華街周辺のお店
日本銀行が2018年に発表したキャッシュレス決済の動向資料によると、20~50代といった若年層にキャッシュレス決済が広く浸透していました。
また、地域別で見ると3大都市部の住人が8割、九州四国などの地域住人では7割の割合でキャッシュレス決済を利用しており、大都市のほうが浸透率の高い結果となりました。
3大都市は20~50代がほぼ同等の高さですが、その他の地域では20代が若干低い数値を示しており、30代と50代が多少ながら高くなっています。
上記の調査結果を加味すると、端末ひとつで複数の決済方法に対応できるモバイル決済の導入は、以下のようなタイプのお店におすすめです。
- 繁華街周辺の飲食店
- 3大都市部の個人店
- 地方のビジネスマン向け衣料品店
- 地方のオフィス街の飲食店
3大都市部では20~50代にまんべんなくキャッシュレス決済が浸透しているため、日常的に利用されやすい店舗でのモバイル決済導入が適しています。
たとえば飲食店の場合はランチや取引先との会食、忘年会や新歓コンパなど大学生・ビジネスマンのいずれも各シーズンで安定した利用が期待できます。
利用者の母数が多いため、雑貨店など個人店での導入にも手軽なモバイル決済がマッチします。
一方、20代よりも30代以降の利用者の割合が高い地方では、中高生や大学生向けのサービスよりもビジネスマンやOLを対象とした商品やサービスでの導入がおすすめです。
スーツや普段着の購入を想定した衣料品店や、ランチ利用を期待してのオフィス街の飲食店など、働き盛りと言える層を対象としたお店があげられます。
日本銀行が行った他の調査によると、10,000円以上の購入額で現金とクレジットカードによる支払いが半々の割合となり、50,000円以上ではクレジットカード払いが6割以上を占めました。
一方で、1,000円未満の決済では、現金に次いで電子マネー決済の利用率が目立ちます。
学生もビジネスマンもターゲットとなる繁華街周辺のお店は、客単価がバラつきやすいため、クレジットカードと電子マネー決済の両方に対応できるモバイル決済が最適です。
まとめ
クレジットカードやQRコード、電子マネーなど、複数の決済方法を一括で導入できるのが、モバイル決済です。
専用のカードリーダーとスマホ・タブレットなどのモバイルをアプリで連携させて利用するため、大掛かりなレジシステムの導入なくキャッシュレス化が実現できます。
3大都市部と地方によって多少利用者の年齢層に違いがありますが、複数の決済方法に対応できるモバイル決済なら、どのエリアで導入しても顧客の利便性アップに役立ちます。