企業間の取り引きで利用される掛け売りのリスクや業務の軽減を考えるのであれば、BtoB向けの決済代行サービスが役立ちます。
請求書発行や督促業務も行ってくれるうえ、中には未回収時に立て替えや保証をしてくれるサービス会社もあります。
要望別のおすすめは、上記の3社です。
ここでは決済代行サービス会社ごとに手数料や月額費用の差、比較用にメリット・デメリットをご紹介しているので、ぜひ会社選びの参考にしてみてください。
企業向け決済代行サービス会社の手数料ランキング
企業間取引きに欠かせない売掛金の請求や代金回収、消込作業や未入金時の督促業務まで請け負ってくれるのが、BtoB向けの決済代行サービスです。
掛け売りによるBtoBの取り引きに特化した決済代行サービス会社を、手数料の安い順にランキング形式でご紹介します。
BtoB向け決済代行サービスランキング
日本における企業間の取り引きでは掛け売りが主流となっており、決済代行サービス会社の多くも、掛け売りに関する業務フローをまとめて引き受けています。
そのため、店頭やECサイトで個人客相手に販売するときに発生する手数料や月額利用料などの他に、請求書発行手数料や請求書送料が請求される場合があります。
以下は手数料をメインにランキングしていますが、その他の費用やメリットデメリットを総合的に見て、契約する決済代行サービス会社を選びましょう。
手数料が最も安いのは、マネーフォワードグループのMF KESSAIです。
申し込み者の取り引き実績や取り扱い商品などで具体的な手数料は決まりますが、最安料率は0.5%から、最高でも3.5%までとなっており、場合によっては1%未満の手数料で利用できます。
注意したいのが、決済手数料以外の費用については一切が非開示な点ですが、純粋に多数料の最安値を重視して、ランキング1位としました。
また、以下にも詳しく解説しているとおり、買い手にとって支払い方法の選択肢が多く、手数料に対するコスパの高さも評価しています。
- 決済手数料…0.5%~3.5%%
- 月額費用…非開示
- 請求書発行手数料…非開示
■メリット
- 多数料が業界最安値の0.5%~
- 支払い方法が多い(LINE Pay請求書支払いも可能)
- 100%の入金保証
- 督促業務も代行
- 与信の審査落ちが少ない
■デメリット
- 見積もりが出るまで具体的な手数料が分からない
- 手数料以外の費用が発生するのか不明瞭
- LINE Pay請求書支払いは5万円以上の請求には不可
MF KESSAIは手数料の最安料率だけではなく、支払方法の選択肢が多く、買い手にとっても支払いしやすいサービスが大きな魅力です。
支払い方法が多い他社でも、銀行振込・口座振替・コンビニ払いの3方法程度までか、クレジットカード決済が加わる程度ですが、MF KESSAIはLINE Pay請求書支払いにも対応しています。
ただし、コンビニ払いに30万円までの上限があるように、LINE Pay請求書支払いでも『5万円未満』と上限があるため、少額取り引き限定となってしまう点はデメリットです。
支払い方法の多様性を重視する方や、少額での掛け売りを対応することもある方には、上限が5万円未満でも検討する価値はあるでしょう。
公式サイトの導入事例ではオーナーが「与信審査に通りやすくなった」「掛け売りの上限金額が大きくなり、取り引きの幅が広がった」と評価していますが、公式サイトでは具体的な数字は明示されていません。
手数料や月額の固定費と合わせて、すべては担当者との打ち合わせで見積もりを出してもらうまで分からない点がネックとなっています。
しかし、事例では事業主や会社が提示するさまざまな要望への柔軟な対応が評価されているため、一度見積もりを依頼してから検討する手もおすすめです。
手数料のみを見ると、掛け払いドットコムと3位のNP掛け払いに差はありません。
その他発生する費用について、工夫次第でコストダウンを狙える点などを考慮した結果、掛け払いドットコムを2位としました。
1位やNP掛け払いと同様、手数料の具体的な料率は、取り扱い商材や販売方法など多角的に事業を評価したうえで決定されます。
- 決済手数料…1.2%~3.6%%
- 月額費用…0円~
- 請求書発行手数料…190円(PDFタイプは無料)
■メリット
- PDFの請求書なら0円で発行可能
- 月額費用が0円や激安になるチャンスがある
- 個人事業主や小規模でも利用可能
- 調査機関に情報のない取引先でも審査可能
- 未回収金を100%保証
■デメリット
- 買い手が利用できる支払方法が不明瞭
- 立て替えの場合は振込手数料が発生する
- 振込先銀行口座によって手数料が変わる
- 月額費用が有料となる可能性がある
掛け払いドットコムの特徴のひとつが、請求書を紙製かPDFか選べるうえ、PDF版を選ぶと発行手数料が0円になる点です。
少額取り引きが多い方や取引件数そのものが多い方にとって、請求書1通ごとにかかる発行手数料は負担が膨れ上がりやすいものですが、PDF形式に変更するだけで大きな節約効果が期待できます。
月額費用や明確な決済手数料の料率は担当者からのヒアリングで決定されるため、問い合わせるまで分からない点がデメリットです。
ただし、最低月額費用が0円のため、場合によっては1位のMF KESSAI(月額費用が非開示)よりも総合的に安くなる可能性がある点は魅力でもあります。
調査機関(TDBやTSRなど)に情報がない企業や少額取り引きでも審査を請け負ってくれるうえ、金額に関わらず未回収金を100%保証してくれるため、さまざまな取引先への営業が可能となります。
具体的な手数料や月額費用の他、買い手側が支払い時に利用できる決済方法も不明瞭となっているため、まずは公式サイトからの資料請求や問い合わせが必要です。
NP掛け払いは、ネットプロテクションズ社の公式サイトによると累計利用企業数260万社を超えるほどの実績を持っています。
個別対応への柔軟性を売りとしており、たとえば買い手側の基本的な支払いサイトは月末締めの翌月末払い(30日サイト)ですが、希望すると50日サイトまで延長対応してくれる場合もあります。
そのため幅広い取り引き先の開拓が可能ですが、一方で月額費用が必ず発生することから、3位の評価となりました。
- 決済手数料…1.2%~3.6%%
- 月額費用…12,000円~
- 請求書発行手数料…190円
■メリット
- 請求書の再発行や領収書の対応も可能
- 個人事業主との取り引きも可能
- 最低取引件数や最低利用金額の制限はなし
- 銀行振込・コンビニ払い・口座振替に対応
- (買い手は)会員登録で支払い方法を変更できる
■デメリット
- 月額固定費がかかる
- 請求書は紙製のみ(PDFなし)
- 一部の買い手向けサービスは会員登録が必要
- 上限は1社あたり最大300万円まで
NP掛け払いは請求書の再発行を無料で行ってくれるため、キャンセルや金額変更が発生しやすい取り引きをメインとする企業におすすめです。
支払い方法も銀行振替やコンビニ払いの他に口座振替を指定でき、買い手側にとって支払い忘れのリスクが少ないメリットがありますが、会員登録の手間がかかります。
ただし、一度会員登録すれば買い手側は後から支払い方法を変更できるようになるため、売り手だけではなく買い手側の利便性をアップさせられるのは大きな強みです。
決済1回ごとにかかる手数料は2位の掛け払いドットコムと同様ですが、NP掛け払いは月額費用が『12,000円~』となっている分、コスト総額が高くなる可能性があります。
取り引き自体は個人事業主や少額にも対応していますが、月額費用の負担を減らしたい方は、決済手数料が同率設定の掛け払いドットコムと比較してることをおすすめします。
売り手にとっても買い手にとっても利便性が高いサービスは、NP掛け払いの他にクロネコ掛け払いも該当します。
配送会社ならではの幅広いサービスを提供しており、掛け払いと配送を1社にまとめて委託したい方に最適です。
ただし、基本的な決済手数料の料率が上位3社と比べると高く、今回のランキングでは4位となりました。
- 決済手数料…2.0%~5.0%
- 月額費用…0~10,000円
- 請求書発行手数料…無料
■メリット
- グループの他のサービスも活用できる
- 規模に関わらず月額費用は最大10,000円まで
- 地方でも担当者と直接会って相談できる
- 限度額を最大2,000万円まで増額可能
- 他社の配送利用者も申し込める場合がある
■デメリット
- 最初の導入までに日数がかかる
- 月額費用がかかる場合がある
- コンビニ払いの場合は金額で手数料が変わる
配送サービス大手のクロネコヤマトが手掛けるクロネコ掛け払いは、グループ会社やサービスとの連携も可能なため、グループ内のサービスと併用することができます。
たとえば倉庫を所有していなくても入庫・出庫できる代行サービスや、動画制作サービスなど、近年の需要にも対応しています。
メリットともデメリットとも言えるのが月額費用で、必ず発生する点はデメリットですが、上限10,000円と具体的な上限がある点はメリットです。
決済手数料と月額費用は利用者の売上実績や取扱商品などを考慮し、個別に設定しているのがクロネコ掛け払いですが、上限が分かっていると安心して見積もり依頼を出すことができます。
また、全国展開の巨大グループのため、地方都市でも近隣の事務所から担当者が直接会いにきてくれるのが嬉しいところです。
手数料や顧客ごとの限度額など、さまざまな交渉や相談を直接会って行える点に安心感を覚える方は、クロネコ掛け払いを検討してはいかがでしょうか。
手数料はMF KESSAIが最も安い!少額の請求が多いならクロネコ掛け払い!
以上ランキングでした。 もう一度表で比較してみましょう。
決済手数料のみで比べると、マネーフォワードグループのMF KESSAIの0.5%~3.5%が最安値ですが、月額費用などその他の料金について非開示のため、総合的な意味では最安値とは限りません。
月額費用なども公表している他社も含めると、取り扱い商品や売上規模によっては掛け払いドットコムやクロネコ掛け払いのほうが総額コストを抑えられる可能性があります。
- 掛け払いドットコム…PDF請求書は無料発行・月額費用は0円~
- クロネコ掛け払い…請求書は無料発行・月額費用は0円~10,000円
上記のとおり、この2社は月額費用が無料となる可能性があるうえ、請求書の発行手数料を抑えることができます。
買い手が会員登録せずともコンビニ払いや口座振替を利用できることや、配送・倉庫などグループ内の他のサービスと併用できることから、取引件数が多い方にはクロネコ掛け払いが最適です。
請求書の発行手数料が無料のため、少額の取り引きが多くても請求金額に対するコストが膨れ上がる心配がありません。
ただし、こちらでご紹介する4社の中で最も決済手数料が高いため、まずは毎月の取引量や売上金額をもとに各社で見積もり依頼を出してみることをおすすめします。
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まとめ
BtoBの取り引きでは掛け売りによる販売が一般的ですが、相手の規模や付き合いの長さなど、掛売りすることに躊躇する場合もあるでしょう。
そのようなときに安心して取り引きできるようにサポートしてくれるのが、企業間取り引き専門の決済代行サービス会社です。
各社で手数料や月額費用に違いがあるため、契約会社を選ぶときは手数料以外のコスト面も含めてじっくり検討しましょう。